ド忘れ城本丸

城主・春もみじの近況報告/“微”忘録です ついった@Northern_maple

ジンセイに学ぶジンセイ論

 

 ジンセイとは何か。

 

 一言で言うならば「粘り強さ」である。……靱性。もっと詳しく説明するならば、「外力によって破壊されにくい性質」。簡単に言えば、この値が大きいと壊れにくい、小さいと壊れやすいというものである。記号はGcで表す。こいつで「ジンセイ」を学んでやろうというのだ。

 

 

 ある教授が「心のGcの大きな人間になれ」と言った。靱性は英語でtoughness、タフネスである。心がタフな人間になれ、ということだろうか。であればそんな分かりにくい表現を使わずに「お前、タフになれよ」と言われた方がスッと頭に入ってくる。実際これを言われたときは「何言ってんだこの人」という感想しか出てこなかった。

 

 教授曰く、「心が“折れた”は破壊に相当するので二度と戻らないが、心が“へこんだ”は塑性変形だから力をかければ加工硬化で心が強くなる」だそうだ。

 

 ?

 何言ってんだこの人。

 

 

 折れたものは元に戻らないので折れっぱなし壊れっぱなしである。シャーペンの芯が折れた後しばらくするとくっついた、なんてことはない。

 

 塑性変形は物体に力をかけた後、その力を除いても元の形に戻らない変形のことを指す。たとえば空き缶を踏むとへこむが、足を離して放置しておくと元の綺麗な形の缶に戻るなんてことはない。バネを引っ張って手を離したら伸びきってしまった、というのも塑性変形である。対義語は弾性変形。

 

 加工硬化は金属に力をかけて変形させると硬くなること。針金を曲げると曲げた部分が硬くなるのはまさに加工硬化である。

 

 つまり、心のGcが高いと壊れにくく、へこんだとしても心はへこむ前より硬くなっているというのだ。

 

 なるほど。

 

 

 

 いや待て。本当に「なるほど」か?

 

 私の心は貧弱である。「豆腐メンタル」なんて言葉が使われることがあるが、私はまさにそれである。当然だが木綿ではなく絹だ。箸で軽くつついただけですぐに穴があく。

 

 そもそも金属製の心を持った人間、いるか?割と豆腐な人、多いのでは??

 

 「心なんて実体のないものなんだし、そういうことを言うのは野暮だ」?……おっしゃる通りで。

 

 

 加工硬化の例で針金を挙げたが、針金を曲げたことがある人は分かるはずだ。何度も曲げ続けるとどうなるか。

 

 折れる。

 

 ものには限度があるのだ。人間だってそうだ。ストレスを感じていなくてもたまり続けると身体の調子が悪くなる。

 

 変に外力に耐性をつけすぎてしまうと壊れたときが怖い。ほどほどのジンセイで最高のジンセイにしたいなあ。